2003年3月26日
「お前は、自分で労することも育てることもなく、一夜にして生じ、一夜にして滅びたこのとうごまの木さえ惜しんでいる。それならば、どうしてわたしが、この大いなる都ニネベを惜しまずにいられるだろうか。そこには、十二万人以上の右も左もわきまえぬ人間と、無数の家畜がいるのだから。」 旧約聖書 ヨナ書4:10〜11
日本基督教団の聖書日課によれば、先週の土曜から今日にかけてはヨナ書である。今日はその最後の章が日課であった。
預言者ヨナは神さまから「悪のニネベに行って、そこで滅びの預言をしろ」と命じられる。しかし彼はニネベに行くことを拒んで、ヤッファの港から船に乗ってタルシシュ(スペインか?)へ向かったのだ。ちなみにニネベは東へ陸を600キロほど行かなければならない。このことは神の怒りをかい、海は大荒れ、その原因を知るべくクジをひいたところヨナに当たり、彼は海の中に放り出され、大魚に飲まれ3日間悔い改めの日を過ごしたのだった。大魚は彼を吐き出したので、ヨナはようやくニネベへと向かった。
ニネベに着いたヨナは、町中を巡り歩き神の裁きを預言した。すると意外にも人々はヨナの言葉に驚き、悔い改めたのだった。それを見て神さまはニネベを滅ぼすのをやめてしまった。つまりヨナの預言は外れてしまった。ヨナは「自分の立場がなくなった」と神さまに文句を言って、ニネベがどうなるか、高台から見物を決めこんだ。すると神さまは彼の居場所にとうごまの木を生えさせた。とうごまはヨナに快適な日陰を提供したので彼は大いに喜んだ。ところが次の日、虫が食い荒らし木は枯れてしまった。ヨナは再び文句を言った。そのヨナに対して神さまが語ったのが上の言葉である。
先日書店で「イラクとその周辺」という地図を買ってきた。イラクの領土が赤い線で囲まれている。それはティグリス、ユーフラテスを中心とした地域であった。旧約聖書を開けばまず天地創造の記事がある。神さまは天地創造の最後に人間を創ってエデンの園に住まわせた。エデンから流れ出る川のうちの二つがこのティグリス、ユーフラテス両河川である。ノアの箱船が大洪水の後着地したのは、イラクの北約150キロにあるトルコ領のアララトだった。人間が技術開発に自信を持って神になろうとした「バベルの塔」の物語の舞台はバグダッドの南70キロほどの所だ。アブラハムの父テラは、ウルに住んでいた。ユーフラテス川沿いの文明の発達した都市だった。テラはアブラハムとロトを連れて、文明の都市ウルを捨ててカナンへ向かった。ユーフラテスをさかのぼる旅である。ナジャフやカルバラーを通って、シリアを通過してトルコに入り、ハランで彼は死んだ。時代が降ってイスラエルとユダの2王国時代、北のイスラエル王国を滅ぼしたアッシリアはティグリス川流域に首都を置いた国である。ヨナが遣わされたニネベもそうだ。そして南のユダ王国を滅ぼしたバビロニアもユーフラテス流域に首都を置いた国である。いずれもイラクである。こうしてみるとイラクという国は旧約聖書の中で大変重要な位置を占めていることがわかる。
さて、サダム・フセインに率いられたイラクはどんな国であったとしても、そこにキリストの教会がある限り、神は彼らを滅ぼすことを望まれないだろう。外務省のホームページでイラクについて調べてみると、宗教はイスラム教が97%で、キリスト教その他が3%あるという。「その他」の内訳を知りたいところだが、たぶんキリスト教は1%(日本でのキリスト教の比率)よりは多いのだろうと思う。そして、この地には東方アッシリア教会というネストリウス派の流れを引く教会がある。