2002年8月13日
初めて中央アルプスに足をかけました。これまでの山歩き歴は、東京にいた頃の奥武蔵、奥多摩、丹沢などが中心で、たまに南アルプス(北岳、間ノ岳、甲斐駒ヶ岳、千丈岳)、八ヶ岳(北部のみ)、乗鞍岳(北アルプス南端)、そして名古屋に来てからは鈴鹿の山々でした。こちらに来てからぜひ登ってみたいと思っていたのが、中央アルプスと御嶽山でした。
今回ようやく中央アルプスでもいちばん登りやすく人気もある木曽駒ヶ岳に行って来ました。
朝早く出発したい。 時刻表を調べるとこの時期、バスは5時台から動いている。そしてロープウェイもバスが到着次第動くという。そしてロープウェイに乗ってしまえば、7分で2600mまで上がってしまうのだ。だから朝早く出発すれば、上でたっぷり時間が取れる。そこで、家は前の晩に出ることにした。中央高速を使うと駒ヶ根まではすぐなのだが、それをあえてのんびり行く。それも中央高速沿いに木曽谷を通り、夜の馬籠宿散歩し、清内路峠を越えて伊那谷へというコースをとった。仮眠は高速に入りSAで、といういつものパターン。しかし、ちょっと寝過ごして一番のバスには乗れず、菅の台の駐車場には5:40頃着いた。そこからバスに乗り換えて(ロープウェイの乗り場しらび平まで一般車は乗り入れることができない)しらび平まで向かう。一般車の乗り入れ禁止区間に入ると道は狭くなる。運転手同士無線を使ってすれ違う場所を打ち合わせているみたいだ。下りの車が広くなったところでこちらが登ってくるのを待っていてくれる。で、面白いと思ったのは、必ずしも左によって待っているわけではない。右側に寄って待っていることもある。要するに、登りの車がまっすぐ登っていけるように待機しているようだ。
しらび平からはロープウェイ。61人乗りのゴンドラはさすがに大きい。説明によると秒速7mで移動するという。時速に換算すると25.2Km/hだ。すれ違いは50km/hということになり、これは速いと感じた。
6:40、ロープウェイを降りるとそこは千畳敷駅。ホテルと一つの建物だ。外へ出ると登山カードの受付がある。記入しようとして用紙を探していたら、「どこまで行かれますか?」と聞かれた。駒ヶ岳までというと「その装備ではダメです。行っても後悔することになります。」と、けんもほろろである。まあ、それもわからぬでもない。こちらの恰好は半袖のシャツと半ズボンである。ただし、登山の装備は自分の安全のためであって、人に見せるためのものではない。彼が「最低の装備」として示したのは厚みのある防寒服と防寒ズボンをはいた人であった。そんな恰好で登れるものか、急坂を歩き出せばすぐに脱いでしまうものだ。だからそういうものはリュックの中にしまってある。だがそんなことを説明するのは面倒なので、とにかく歩き出した。
千畳敷カールは氷河によって谷がU字型に削られた地形だ。今はきれいなお花畑になっている。
カールをひたすら登っていく。いろいろときれいな花があるがよくわからない。確実にわかったのはトリカブトだ。烏帽子(えぼし)のような形をしている。下りこの場所を通ったら、ここで一人のおばさんがこの写真を撮っていた。私も撮るために待っていたら「きれいですねぇ。なんて言う花かしら?」と言うので、「トリカブト」と教えてあげた。古代から毒矢などに用いられ、また狂言「ぶす」に出てくる大毒のぶすとはトリカブトのことである。近年も殺人事件に使われたので、名前は知られていると思うが、案外その花は知られていないようだ。神学生の時山岳部(そんな大仰な名前を付けるほどのものではないのだが)の仲間たちと山へ行った時も、トリカブトを見つけ、寮の裏庭に植えようかなどと話していたのを思い出した。話はずれるが、昨年、小牧市桃花台中央公園の駐車場にケシの花が咲いていた。「お、こんなところにケシの花が咲いてるぞ」など言っていたのだが、翌週には無くなっていた。公園管理者が抜いたか、あるいは不心得者が持ち去って密かに栽培しているのか・・・。
やすみやすみ登っていくと尾根に出る。乗越浄土だ。ここは東へ行くと伊那前岳、すぐ西には宝剣山荘があり、木曽駒方面と宝剣岳の分かれ道になっている。宝剣山荘の裏側から景色を見る。南アルプスの山並みがよく見える。その中に富士山が混ざっている。上の写真、右端が宝剣岳。左の方に富士山。木曽側も見たが、わかる山はなし。宝剣山荘で休憩。朝食を食べるのを忘れていたので、食べることができるかどうか尋ねたが、10時からだという。あと2時間ある。コーヒーを飲んで朝食の代わり・・・にはならないが、やむを得ない。アルバイトの学生達が便所掃除の当番のことなど話し合っていた。
山荘からコースを北に取り駒ヶ岳へ向かう。まずは中岳2925mに登る。巻き道もあるのだが「巻き道(危険)」という標識のせいで誰も行こうとしない。ひたすら山頂目指して登る。中岳は岩山だ。ここでまた休憩。風が強い。中岳から一度下ると頂上山荘と幕営地がある。そこからまた登りになる。そして頂上にたどり着く。
山頂には駒ヶ岳神社の本社がありその横に売店があった。売店のおじさんが塩野七生の「ローマ人の歴史」を読みふけっているが時折呼び込みをする。つられて行ってみると焼きそばというメニューがある。朝食抜きでここまで来たのでお腹は空いている。焼きそばとコーヒーを注文するとカップ焼きそばと紙コップ付きインスタントコーヒーを渡されて、自分でポットからお湯を入れろと言う。先方がそこまでのサービスをすると法律上問題があるのだ。焼きそばのパックを開いてお湯を入れるが、3000m近いところである。お湯は沸かしたてでも100度にならない。山頂でしか売っていないというバッジを買った。昔は山に登るたびにバッジを買い集めていたが、全部捨ててしまった。また集めるか・・・。3分待ってお湯を捨てよく混ぜて食べるがかなり堅めである。そうこうしている内に売店に4人組の女の子達がやってきた。店員がどこから来たのと尋ねると下関からだという。彼の親戚が下関だとかいう話から話が盛り上がってくる。おじさんと思ったら彼は大学生だそうだ。そして彼女らは卒業一年目の教員達だそうだ。その賑やかさにおじさんが一人やってきて「ここは何?」。「売店です」。このやりとりに女の子達が笑う。
景色の方は南アルプス側は何とか見えた。西〜北側は雲海が邪魔してあまりよく見えなかったが、御嶽が半分顔を覗かせていた。槍穂は確認できず、残念。